個人事業の法人成りをお考えの方
個人事業の規模がある程度以上拡大すると個人事業を法人成りすることで大きいメリットが得られます。
◆法人成りのメリット
個人事業の法人成りのメリットとしては下記のものがあげられます。
①税率の違い
資本金1億円以下の会社(中小法人)であれば、法人税率は所得800万円以下の部分は18%(平成23年3月31日現在)、所得800万円超の部分は30%です。所得税の税率は累進税率で一定ではありませんが、ある一定の所得を超えると法人税の税率よりも高くなります。
②法人代表者の給与を損金算入できる
個人事業では所得は全額税金がかかります。会社では法人代表者に支払った給与は必要経費として損金算入できます。法人代表者の所得税においても、給与所得控除を受けられるため、法人・個人一体で考えると給与所得控除を受けられるというのは大きなメリットとなります。
③経費の範囲の拡大
個人では経費として認められないが、会社では経費で認められるものがあります。例えば以下のものがあります。
・代表者や家族への退職金
・家族に支払う賃借料
・家族に支払借入金利子
④欠損金の繰越控除
個人事業で青色申告をしている場合、純損失の繰越控除ができるのは3年間です。一方、会社の場合、欠損金の繰越控除は7年間できます。赤字事業で3年間で繰越控除を使いきれない場合、会社の方がメリットがあります。
⑤対外的信用
間接的なものではありますが、個人事業を法人化することにより対外的な信用は高まります。会社とすることにより、取引先、金融機関等との交渉においても、信用力は高まります。
◆法人成りのデメリット
個人事業の法人成りのデメリットとしては下記のものがあげられます。
①会社設立の費用と手間
個人で事業を始める場合には、登記の手続は必要ありません。一方、会社を設立すると
会社設立の登記が必要となします。会社の設立登記費用は、設立の手続を全部自分でやったとしても定款印紙代、定款認証手数料、登録免許税など、株式会社では27万円程度の費用がかかります。
②役員の登記が必要
株式会社の場合、株主総会で選任される取締役等の役員の登記が必要です。役員の人選に変更がなかった場合でも、最長10年ごとに登記する必要があります。この場合、登記の場合の登録免許税として1万円がかかります。
③法人税均等割
個人事業の場合、赤字であれば所得税はかかりません。一方、会社の場合、赤字であっても住民税の均等割がかかります。均等割は会社の資本金と従業員数により金額は異なりますが、資本金1,000万円以下、従業者数50名以下の最低の場合でも7万円程度はかかります。
④他の所得との損益通算
個人事業の場合、事業所得で赤字になった場合、不動産所得等があれば損益通算することができ、不動産所得等の税金を安くすることができます。一方、会社の場合、赤字になったとしても、個人の不動産所得等とは損益通算をすることはできません。
⑤交際費
個人事業の場合、事業に必要なものである限り、交際費は全額必要経費となります。一方、会社の場合、交際費は損金算入限度額があり、全額は損金に算入することはできません。
◆まとめ
個人事業を法人成りする場合、上記のようなメリット・デメリットがあります。多少のデメリットはあるものの、個人事業である程度以上に規模が拡大した場合は法人成りすることにより大いなるメリットがあります。
個人事業の法人成りを検討している方は、是非当税理士事務所までご相談ください。